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航空機は渦で飛ぶ

見たこと、思ったこと、気になったこと。

航空機は渦で飛ぶ

「飛行機って、どうして飛ぶの?」
「飛行原理を教えて。」
「ベルヌーイの原理で飛んでいるという説明に疑問がある。」

航空工学科を卒業していると、上のようなことをよく言われる。
どうやら多くの人の興味を集める話題らしいので、
ザックリと飛行機がどうやって飛んでいるのか、大筋を書いてみたいと思う。
細かいところに寄り道していると簡単に迷子になるので、
細部は後日ということにする。
大筋のみとはいえ、とても単純とは言えないので、気合を入れて読んでほしい。


さて、航空機は空を飛ぶ。主翼に上向きの力が発生していることは予想がつくと思う。ちなみに、主翼は上向きに力を発生させているが、主翼の補助と誤解されがちな水平尾翼は、下向きの力を発生させている。主翼水平尾翼でバランスを取るようになっているのだ。
航空機の翼(ヨクと読む。)が発生させる力を、揚力と呼ぶ。


この揚力の直接の原因となっているのは、
翼の上下で乗じている圧力差 だ。
上下でどれくらい差が出るかというと、上面が下面の約半分の圧力になる。
これは、翼上下の空気の流速差(空気の流れる速さの差)が、上面が下面の2倍になるからである。

流速差がどうやって圧力差につながるのか、と思うかもしれないが、これについては、圧力とは何ぞや、というところから始める必要があるので後日とする。(回収済み。「後日」からどうぞ。)

揚力発生メカニズムの説明というのは、この流速差がどうしてできるのか、を説明することになのだが、一見関係のないところから始めてしまうと退屈なので、結論を先に見てみることにする。
下の図を見てほしい。と、ここで注意がある。ひとえに描いた人の責任なのだが、”循環Γ(ガンマ)”となってしまっている。正しくは”-Γ”である(マイナスがないと回転が逆になってしまう。)。正確でなくて申し訳ないが、説明には影響がないし、今気づいてしまったのでこのままいきたい。

f:id:HANEDA_Nari:20170125205112j:plain

この循環-Γが、流速差を生む。循環といわれると戸惑うかもしれないが、空気の流れと思ってもらっていい。

すると、どうだろう?
この翼に前(画像の左側)から流れてくる風の身になってみると、
翼上面では循環が追い風となり、翼下面では向かい風となることが分かると思う。
流速は、翼上面に沿った流れが、翼下面の約2倍になる。
これは実験の結果確認されている数値だが、循環を使って理論を考えてみても実験値と同じ結果が得られていることが確認できる。
つまり、3の力で流れているところに循環によって上面は+1、下面は-1が加わると、それぞれ4と2で2倍の差がつく、ということだ。

この循環が発生する原因は画像右側の出発渦にある。
この出発渦ができることで、逆回転の渦である循環が翼の周りに発生する。
渦は、単独では存在せず、必ず同じ大きさで逆回転の渦を伴うからだ。
この渦が揚力の源である。翼が揚力を発生させている間、この一対の渦は存在し続ける。理論上出発渦は、航空機が動き出し翼が風を受けると翼後縁から発生し、機体が停止するまで維持される。

 

では、出発渦がどうしてできるかというと、
これは 空気と機体の間に発生する摩擦力 による。
物体同士がこすれると摩擦力が発生するが、空気の場合も例外ではなく、また、流体であるが故に流れ方に影響する。

下の画像は、出発渦ができる直前の翼回りの様子を表したものだ。
翼回りの空気は下の図のように翼と空気の摩擦でできた小さな渦をため込む。

f:id:HANEDA_Nari:20170128210117j:plain
このあとオレンジ色の渦が後ろへ放出されて、一枚目の画像の出発渦となる。
エネルギーが溜まりすぎて耐え切れなくなり、ピョイっと吹き飛ばされるのだ。
出発渦ができた後は青とオレンジが同量放出されバランスが整い、摩擦による渦は±0となるので、出発渦の片割れである循環が翼周りに残る。

空気の摩擦が渦を形成する過程は境界層の話をせねばならないので今回は省略する。
また後日。(回収済み)

これで飛行機が飛ぶ理由のあらすじは終わり。
後日に保留したものはボチボチ回収する予定。

ちなみに、
馬鹿言ってんじゃないよ!ベルヌーイの定理(詳しくは後日)が出てこないじゃないか!
という声がありそうなのでそちらに少し触れておく。
ベルヌーイとは何ぞや?という方は下の段落を読み飛ばしてもらっても構わない。


ベルヌーイの定理も一部の翼型(翼の断面図)では影響があるが、とても微弱で揚力の源とはなりえない。あくまでおまけ程度なのである。
証拠に、ベルヌーイでは一切説明のつかない翼型も存在する。
スーパクリティカル翼という上下対称の翼型だ。この翼型を持った機体も実際に飛行している。(機体の名前は今すぐには思い出せないので、興味のある方は調べてみてほしい。)
鋭い方はここで気づいていただけると思うが、悪名高き間違い理論である同時到達理論もこの翼型を持った機体によって否定される。
スーパクリティカル翼でも飛ぶからな!当然だけど!
間違い理論に関しても、後々書いてみたいと思う。

単純とは言えない、と前置きしてから始めてみたが、どうだっただろうか?
もっとちゃんと知りたい!という方には参考文献を示そうかとも思ったが、軒並み3000円越えの専門書になってしまう(大学の時の教科書。)ので、書店で見つけた書籍を紹介しておく。リンクは張らないので、お好きなサイトなり書店なりで見てみてほしい。

●間違いだらけの物理学(学研科学選書)   松田卓也 著

  • ISBN-10: 4054059163
  • ISBN-13: 978-4054059160

今回はこの辺で。